1.趣旨
社会情勢や経済状況の変化から、地域の自立が急務の課題としてクローズアップされてきている。地域主導の国土形成、住民主導のまちづくりが求められる新たな時代を迎え、真の意味でそれを実現するためには、地域に根ざした問題意識の高い人材を幅広い分野から参集し、自らが行動を起こすと共に、横断的な連携を保ちながら一元的に活動を展開する体制を築くことが必要である。地域がいかにして持てる知恵を集積し、自らの活性化を図るのかが試されている。
十勝においても、環境の改善、社会教育の普遍化、循環型社会の形成、情報化の促進等に関する諸課題が顕在化している。それらに対応するため、現代に生き、地域の牽引役となっている世代のシームレスな地域づくり集団を「コミュニティシンクタンク」という概念で立ち上げ、十勝の地域づくりにおけるハブ機能を保有しながら、地域戦略、施策に関する提言を行い、実行する団体として活動していくため、ここにNPO法人を設立するものである。
2.申請に至るまでの経過
北海道の多くの地域で、官営開拓団の入植、屯田兵による開拓が進められてきたのに比して、十勝は当初から民間開拓団による原野開拓により切り開かれてきた地域であり、そのような風土を背景としてフロンティアスピリットの気風が現在も色濃く残っている。
特に「風土と建築を考える会」の活動は、景観改善活動や地域づくりの提案を重ね、十勝に大きな足跡を残した。それらの活動の位置づけは、開拓時代から始まる生産重視の活動を第1世代とすると、地域づくりやマチづくり活動をキーワードとする第2世代と言うことができる。
ところで、これら第2世代グループの活動の流れの過程では、地域の課題が細分化され、それに伴い活動内容も分化していく傾向にあった。個々の活動は着実に実効を上げてきた反面、複合的かつ広域的な地域のニーズを把握し、全体像を見渡す視点に立った上で施策提言や活動を行う姿勢が稀薄になりつつあるという新たな課題が顕在化してきていると考えられる。
これからの十勝地域及び北海道の課題は、農業、環境、教育、情報などをキーワードとして、市町村単独では解決しえない広域性や、複数の課題が相互に密接に関わる複合性を、いよいよ増していくと考えられる。そのような課題に対しては、地域の知恵を集積し、住民自らが地域の目指す方向について明確な意思表示をすることが求められるようになる。そこで、産官学民のシームレスな地域づくりの新たな母胎となるシステムづくりが必要となってきていると考えられる。
この度の当NPO法人の発足に係わる人材は、これまで、子供を対象とした河川における自然体験イベントへの支援や、自然豊かな田舎の川を再現するシンポジウムの開催、農産物を首都圏に売り込むマーケティング活動、体験観光を推進するための新しい視点やノウハウを研究するなどの活動実績を重ねてきた。ここでそのネットワークを結集し、社会貢献活動をさらに活発化するため、法人格を持つ組織の設立を図ろうとするに至ったものである。
平成13年12月18日
特定非営利活動法人 コミュニティシンクタンクあうるず